2018年7月16日月曜日

子育て環境最高化計画。少子化対策で早期経済成長する方法

少子化対策は、原因が分かれば、比較的簡単に対策する事が可能です。
ここでは、少子化対策を通して直ちに経済成長を促すことの出来る、経済発展先行型の少子化対策方法について提案します。

少子化はなぜ起こるのか
1.1 戦後教育に起因するもの
  • 「(大人は全員)結婚して子育てすべき」概念を持つ人達が高年齢化していったこと
    (子宝という概念は昔からあります。
    「家の為に子供を産む」という概念も、あります。
    「(国の為に)産めよ増やせよ」は、第2次世界大戦当時の日本政府スローガン。)
  • 「周囲の大人も子供を叱る」倫理を持つ人達も高年齢化し、親の子育て難易度が上がったこと
  • 戦後教育では出産推奨はなくなったにも関わらず、生徒の恋愛禁止政策を続けてきたこと
    (性教育はありますが、学校における問題予防の側面が強いです。
    将来の恋愛、結婚等については、ほとんど触れていません。)
  • その結果、戦後世代の増加と共に、出産や子育てに理解の薄い大人が増えてきたこと
    (例:子供による騒音や行為に対して、大人の常識に反するものとして拒否したり、借家から追い出す行為を求める人が増加しました。)
  • その結果、結婚しない、出産しない、出産させない選択をする人が増えてきたこと

1.2 食糧危機に起因するもの
  • 1970年代あたりから、食糧危機が叫ばれたこと(政策としては、中国の一人っ子政策が有名)
  • 同時期に、テレビなどのマスメディアで、人口爆発特集が組まれ、第2次ベビーブーム以降の層に人口抑制効果が生まれたこと
  • その結果、人口増加に否定的な見解を持つ人達が増加したこと

1.3 核家族化に起因するもの
  • 都市部を中心に核家族化が進み、 見合い推進をする人達と、ターゲットとなる若者の接点が途切れていったこと
  • 法律改正で、他人が子供を叱る行為が難しくなったことに伴う、地域住民による、親への責任追及、育児行為への締め付け強化
  • そして、核家族化の結果、出産や子育てについて、身近で助けてくれる人が減った事

1.4 将来収入に起因するもの
  • 非正規雇用の他、請負型でも実質派遣で活動している、比較的低賃金で働く流動的な人達が増えた事
    (派遣型の場合、安定した増収期待が出来ない場合が多いですので、子供を育てる決断をし難いです。)
  • 両親の勤務必須になる事による、育児トラブルの増加と、子育ての充実感低下
    (子育ての為の負担軽減制度が、十分には整備されておらず、仕事先の都合で子育てを断念する家庭もあります。)

「子育て環境最高化計画」の仕組み
1. 「教育分野」子育て環境の進化推進
1-1 子育て支援の為の正規教育の導入
1-2 子育て円滑化の為の、地域文化習得支援
2. 「建築分野」子育て環境の進化推進
2-1 「子育て向け住宅」「子育て向け電化製品」認定制度の導入
2-2 「子育て向け団地」認定制度の導入
3. 「保育支援分野」子育て環境の進化推進
3-1 0歳児からの保育環境の整備
3-2 保育に理解のある企業の公表、宣伝紹介
3-3 子育て支援先進国の政策「低予算化」導入検討
4. 人口着地点の設定
 

1. 「教育分野」子育て環境の進化推進
1-1 子育て支援の為の正規教育の導入
子育ての直接知識である「出産」「子育て」「それらの方法と素晴らしさの疑似体験」を、正規教育として導入します。
義務教育の段階で基礎を教え、高等学校ではベビーシッター可能なレベルでの実践教育を行います。

この教育の目的は、次の2点です。
  • 将来の大人達の、社会に出て必要になる「子育て」技術の基本指導と不安除去
  • 共働き世帯の増加に伴う、保育技術者、ベビーシッターの確保支援
これらの目的を実現する為に、子育て経験のある教員を子育て指導の中核に据えて、現実に即した指導を行います。
(従来の生徒指導は、他の教員に任せます。)
1-2 子育て円滑化の為の、地域文化習得支援
子育てを円滑に行う為には、地域文化や方言の習得も必要です。
また、地域文化や方言は、自国の産業資源、観光資源としても重要ですので、子育て科目と同様に、教育対象とします。

義務教育の後半あたりから、芸術基礎科目として、自国文化、自地域文化、自地域方言、芸術の創造手法、芸術関連の情報発信手法を教えます。
(視聴覚と実演体験中心の授業となります。言語は文化を引き出すキーワード。方言は、地方文化を彩ります。)

国立大学は、入試時に、自地域の子育て科目、芸術基礎科目について出題します。
(大学生がその地域に溶け込む為の一般常識を、試験を通して植え付けます。)
(更に、地方の個性維持、地方大学の存在意義の強化にもつながります。)

2. 「建築分野」子育て環境の進化推進
2-1 「子育て向け住宅」「子育て向け電化製品」認定制度の導入
子育て中の住宅環境は、親の労働成果と子供の教育成果と子育て容易性を大きく左右する存在です。
そこで、世界最高の子育て環境を育てる目的で、「子育て向け住宅」「子育て向け電化製品」認定制度を始めます。
子育てに相応しい防音性能、静音性能、耐振動性能を持つ住宅、電化製品を星4つで分類します。
そして、「子育て向け住宅」「子育て向け電化製品」と星数を全国公表し、優れた住宅や電化製品を国や地方自治体のサイトで紹介、表彰を行います。
(高性能の子育て向け住宅は、都市部を中心に大きな需要があるはずです。)
(将来、さらに防音技術等の水準が上った時には、星の数を増やして対応します。)

  • 4つ星 = 深夜のピアノ演奏、ドラム演奏でも隣接住宅で全く気付かない水準の防音、静音、耐振動性能
  • 3つ星 = 深夜に子育てをしても隣接住居で全く気付かない水準の防音、静音、耐振動性能
  • 2つ星 = 深夜に子育てをしても隣接住居で安眠できる水準の防音、静音、耐振動性能
  • 1つ星 = 深夜に子育てをしても隣接住居でクレームが来ない水準の防音、静音、耐振動性能
2-2 「子育て向け団地」認定制度の導入
子育て向け住居の概念を民間に浸透させる目的で、国は、地方自治体等に対して、防音集合住宅・防音団地の整備指導を行います。
(夜泣きや夜間のドタバタに耐えられる防音品質)

必要でしたら、子育て世帯の入居が決まった住居に対して、防音工事費を一部負担する制度を設けます。
その代わりに、支援した住居に対して「子育て向け住宅」登録を義務付け、「子育て向け住宅」認定制度の存在感を広めます。

3. 「保育支援分野」子育て環境の進化推進
3-1 0歳児からの保育環境の整備
子育て世帯にとって一番問題となる、0歳児から3歳児までの平日昼間保育所、夜間保育所を整備します。
その整備を継続的に行う為に、低予算、もしくは一過性予算で行える方法を最優先で行います。

  • 認可保育所と同等以上の水準にある保育園を「認可級保育所(仮称)」として認定
  • 認可級保育所の「夜間保育」許可
  • 認可級保育所の「防音工事費」一部補助
  • 認可級保育所と「子育て向け住宅」を取得した保育所の一般公表
(改善意欲のある保育所を行政が後押しする仕組みを作ります。)
3-2 保育に理解のある企業の公表、宣伝紹介
一番改善したいのは、派遣や時間請負の形態を取る会社の勤務制度ですが、これには関係各社の思惑や忖度が重なっていますので、改善に時間がかかります。
そこで、子育て共存に意欲的な企業の公表、宣伝紹介など、低予算で出来る所から始めます。
(各企業に、子育て支援を行う方が儲かる、というイメージを植え付ける所から始めます。)
3-3 子育て支援先進国の政策「低予算化」導入検討
フランスやスウェーデンのような子育て先進国では、出産推進のための様々な取り組みを行っています。
それらの政策群の中から、全体的な結婚意欲の向上や、出産、子育て意欲の向上につながる方法を取り上げて、この国で実行可能な、低予算で成果が出せる政策に仕立てて、実行します。
(極力予算を使わずに、民間の積極的参加や、新しい市場を生み出すようなアイデアに仕立てます。)

4. 人口着地点の設定
国の人口増加政策は、無制限で推進して良いものではありません。
将来、食糧難になったり不幸な人が増えないよう、目標とする人口を設定して、着地調整を行います。
(最初は思い切った加速が必要ですが、人口ピラミッドが変動した頃から、人口着地点への政策調整を始めます。)
(世界の食料増産技術の発展など、未知の要素がありますので、人口着地の方が技術的に難しいです。)

「子育て環境最高化計画」の特徴
この計画が実現すると、次の10の効果が期待出来ます。
内閣府と育児家庭。子育て環境改善
国土交通省。建築需要・観光需要の継続的増加
文部科学省。学校の維持、道徳教育の補完、自国文化の豊穣化
総務省。地域人口増加と地域発展可能性
厚生労働省。社会保障制度の継続維持と、全体的な労働環境改善可能性
外務省。自国の国際発言力強化
農林水産省。農作物輸出時のブランド価値上昇効果
経済産業省。全産業の経済発展効果
防衛省。人口増加による戦争抑制効果と、将来的な予算確保容易性
財務省。負担の少ない、財政黒字への道標出現
 

内閣府と育児家庭。子育て環境改善
この計画は、子育てに関係する各省庁を起点として、育児家庭で一番困っている、住居問題、保育園問題、保育そのものの不安問題、自分達や子孫の将来生活保障不安に、真正面から取り組みます。
ですので、この「少子化対策」計画が成功すると、全国の育児家庭は、今よりも安心して子育てする事が可能になります。

国土交通省。建築需要・観光需要の継続的増加
まず、人口増加することで、将来的な税収が増え、インフラ維持、発展が容易になります。
進化する建築物評価概念を導入することで、継続的な建築需要と、建築関連の継続的な技術発展が狙えます。
また、「住み心地の良さ」の継続的追求は、宿泊施設の改善にもつながり、観光滞在日数増加効果が生まれます。

この他、小学校等の避難用施設縮小が抑えられることで、災害発生時の避難所を低コストで確保しやすくなる効果が生まれます。

文部科学省。学校の維持、道徳教育の補完、自国文化の豊穣化
人口増は、地方学校数の維持、発展効果、教育予算の確保容易化効果があります。
出産や子育ての教育は、人命を扱いますので、道徳教育の補完効果があります。

変わった所では、防音性能が向上することで、忙しい労働者でも、(深夜の)趣味、作曲、演奏等が容易になる効果が生まれます。
アマチュア芸術家が成果発表する土壌は、この国にはすでに備わりつつありますので、この計画が成功すると、自国の芸術や音楽が地域の文化と結びつき、自国の文化水準が更に向上、世界浸透するきっかけとなります。

総務省。地域人口増加と地域発展可能性
地域人口増加は、それだけで、学校、病院、道路等の、地域経済発展のためのインフラ整備へとつながります。
この計画が成功すると、地域人口の維持・増加と、地域独自文化の維持・発展の両方の効果が寄与して、世界最先端の芸術拠点、産業拠点が各地に生まれやすくなります。
その結果、地域住民は明るい未来を描きやすくなり、継続的な地方発展につながります。

厚生労働省。社会保障制度の継続維持と、全体的な労働環境改善可能性
この計画が成功すると、次の効果が得られます。
  • 出産数増加に伴う、労働人口維持・増加効果と、それに伴う重労働環境の改善機会発生
  • 労働人口維持・増加に伴う、社会保障制度の継続維持容易化
  • 人口増加に伴う、医療需要増加と医薬品等の開発需要拡大
この他、子育て者への企業の対応(時間シフト等)定着後は、その仕組みが全世代に広がる可能性があります。
その結果、将来的に労働時間短縮効果と、余暇が増える事による健康増進効果が期待できます。

外務省。自国の国際発言力強化
自国のアマチュアの創作作品や情報コンテンツが世界に継続的に発信されることで、無予算でも、自国の国際発言力を強化する事が可能になります。
(製作者と連携して、国が魅力的な情報発信を行うことも可能です。)

農林水産省。農作物輸出時のブランド価値上昇効果
この計画は、国際的な自国ブランド価値の上昇を促します。
その結果、自国名の付いた農作物には「あこがれの国の農作物」という評価が付加され、自国が得意な「高額でも満足できる」高品質農作物が、受け入れられやすくなります。

経済産業省。全産業の経済発展効果
人口の維持、増加は、全産業に対して経済成長を促します。
その結果、歳入も増えますので、さらなる経済政策を実行しやすくなります。

変わった所では、防音性能が向上することで、忙しい労働者でも(深夜の)趣味の追求が容易になる効果が生まれます、
つまり、芸術系の人材が自然に大量に育つ環境が生まれ、将来的に、次のような効果が得られます。
  • 無予算での、世界を驚愕させる産業デザイン、キラーコンテンツの発信人材育成効果
  • その結果現れる、自国ブランド価値の向上効果、自国企業や自国製品の宣伝効果

防衛省。人口増加による戦争抑制効果と、将来的な予算確保容易性
人口の維持・増加は、それだけで「この国の占領は難しい」イメージを他国に与え、戦争抑制効果を生み出します。
また、人口増加による将来的な歳入増加は、将来的な防衛予算確保の容易性にもつながります。

財務省。負担の少ない、財政黒字への道標出現
低コストでの人口縮小阻止は、財政赤字の抑制効果があります。
目標人口が今よりも多いのでしたら、人口増加による将来税収向上効果が狙えます。
さらに、この計画では経済成長を狙いますから、期待税収はさらにアップ = 財政黒字への道標が現れます。

留意事項
(1) 人口着地点の見極めと、人口着地調整
人口増加は、食糧難の可能性を増やすのですが、食料難になった時、人口増加はすぐには止めることはできません。
ですので、将来の食糧難は10年以上前に察知し、食糧難を回避するか、人口増加率を抑える政策を取る必要があります。
(なお、食料生産技術も年々進化しますので、毎年、状況を確認して政策補正する必要があります。)

(2) 人口増加以外の使い方
「子育て向け住宅」のアイデアは、住宅等の災害対策を推進する場合にも使用できます。
例えば、分類毎に得点を付け、数字3つや色付き★で住宅グレードを表現
「安全(耐震、火災対策、水害対策、セキュリティ、耐障害性)」
「子育て向け(静音、低振動、清潔、アレルギー対策)」
「エコ(発電、省エネ、ごみ低減対応、交通便利度)」

(3) 公的社会保障制度の非参加者低減化
人口が増えても、社会保障制度への非参加者が多いと、将来的な財政破綻を起こす可能性は高くなります。
ですので、この計画の成否に関わらず、(外国人も含めて)公的社会保障制度への非加入者数を減らす努力と、そのための制度改善が必要です。
(= おそらく生活保護レベルの年金をもらえないと生活保護が必要になるでしょうから、人口増加を狙うなら、現状よりも強力な対策が必要です。)

(4) 子供確保ビジネスに対する考慮について
子供の数で補助金が増えるような政策を採用する場合には、子供確保ビジネスが生まれますので、対策が必要です。
(以前、子ども手当制度の施行当時、500人以上の手当申請した人もいたとの報道がありました。)

(5) 食糧難防止のための技術開発への投資
留意事項の1番に関連しますが、人口が増えると、増えた分だけ多くの食料が必要になります。
この国で人口増加に成功すると、人口を増やしたい他国も同様の政策を取るでしょうから、食糧難防止の為の技術開発を推進する必要があります。
(食料確保が出来ない見通しであれば、研究開発に他国を巻き込むのも手段の一つです。)


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関連ページ:
(2018年7月17日。文章の整形と、表現の校正)
(2018年7月18日。「産めよ増やせよ」関連で説明追加)