2013年7月19日金曜日

厚生年金第2楽章。生活保障人口を増やして経済発展する方法

今回は、「厚生年金第2楽章」について提案します。
年金制度を拡張する事で、今と未来の貧しい高齢者を豊かにします。

o 社会保障から、国内市場拡大を始めとする様々な改善効果を生み出します。

厚生年金第2楽章の仕組み
1. 厚生年金推奨等級と後納制度の導入
1.1 厚生年金推奨等級の設定
1.2 国民年金のみ加入者の、「特別な」厚生年金加入サポート
1.3 厚生年金推奨等級に従った、年金後納サポート
1.4 低額年金受給者の厚生年金追加積み立てサポート
2. 親族後納と各種慈善後納のサポート
2.1 年金の親族後納サポート
2.2 年金の慈善後納サポート
2.3 相続時の年金強制後納サポート
2.4 年金宝くじの発行
2.5 生活保障支援債権の発行
2.6 親族後納・慈善後納の、統計情報公表
3. 年金制度の運用効率改善
 
1. 厚生年金推奨等級と後納制度の導入
1.1 厚生年金推奨等級の設定
国は、生活保護水準よりも少し高めの「厚生年金推奨等級」を定めます。
(a) 「納付者が、推奨等級の厚生年金を40年間納付する」と仮定します。
(b) 毎月の年金受給額が、生活保護よりも5万円以上高くなるように定めます。
(c) 高齢者の実情に合わせて、病気でも年金だけで生活出来るように定めます。

1.2 国民年金のみ加入者の、「特別な」厚生年金加入サポート
国は、国民年金のみ加入者全員を、「特別な」厚生年金に自動加入させます。
(a) この年金は、国民年金に厚生年金推奨等級分を追加する形で運用します。
納付の催促を行わない厚生年金です。
納付する時は、企業負担分の保険料も自分で納付します。
(b) 振り込み納付のみに対応し、「無徴収」割引を行います。
納付を催促しない代わりに、抑えた経費分を割り引きます。
普通の厚生年金の倍額を納付しますので、国は頑張って経費を抑えます。
(c) 国民年金基金については、年金制度の第3階層とみなします。
(d) 共済年金の加入期間は、厚生年金に入っているものとして扱います。

1.3 厚生年金推奨等級に従った、年金後納サポート
国は、厚生年金推奨等級に従った年金保険料の後納をサポートします。
(a) 厚生年金推奨等級に達していない月について、後納出来るようにします。
既に納付された月については、差分を支払う事が出来るようにします。
(b) 後納対象となる月は、20歳の誕生月からとします。
(c) 後納する時の納付金額は、現在月の納付金額と同じにします。
物価上昇などを考慮すると、現在月と同じ金額にする方法が簡単です。
(d) 「特別な」厚生年金の加入期間に対する後納は、全額所得控除します。
生活が不安定な人達が、無理をせずに納付出来るようにします。
(i) 確定申告時期になる前に、年金保険料の控除証明書を発行します。
(ii) 可能でしたら、国民年金保険料の控除証明書に追記する形にします。
(e) その他の後納は、確定申告の控除対象から外します。
普通に納付する時よりも、若干損になるように設計します。
(f) 高齢者の追加納付対応
人間は何歳まで生きるか分かりません。
60歳以上でも、大きな収入が得られた時に年金を後納出来るように設計します。

1.4 低額年金受給者の厚生年金追加積み立てサポート
国は、「低額年金受給者でも、自力で幸せな年金生活を目指せる」仕組みを作ります。
(1) 国は、低額年金受給中の人に対して、働けば「自動で」年金額が上がる仕組みを作ります。
(2) その為に、企業に対して、年金受給年齢に達した後でも厚生年金保険料納入を義務付けます。
(3) 年金受給額が推奨金額に達するまでは、受け取った厚生年金保険料を国が自動で積み立てます。
(4) 年金受給額が推奨金額以上になる時は、国が受け取った年金保険料を、年金受け取り口座に(自動で)振り込みます。

2. 親族後納と各種慈善後納のサポート
2.1 年金の親族後納サポート
国は、親族による年金保険料の後納を、全額所得控除します。
(a) この金額は、相続税や贈与税の対象からも外します。
(b) 国は、必要に応じて、親族後納証明書を発行します。
この証明書は、確定申告時の所得控除に使います。

2.2 年金の慈善後納サポート
(1) 国は、個人法人に関わらず、不特定多数への慈善後納をサポートします。
(a) 生活保護水準以下の年金受給権利者に対して、1箇月分ずつ年金後納を行います。
(b) この後納は、後納者が指定した地域に対して行います。
(c) 国は、慈善後納に対して、慈善後納証明書を発行します。
本人が慈善後納を宣伝出来るようにします。
(d) 国は、慈善後納の全額を、贈与税の対象から外します。
(e) 国は、累積慈善後納額の大きさに応じて、感謝状を贈ります。

(2) 国は、個人法人に関わらず、慈善後納を税制上でも優遇します。
税制上では、慈善後納について、資本金に応じて一定金額までの控除を認めます。
出来れば、それが従業員向けの慈善後納であっても、年金保険料の積み立てであれば認めます。

(3) 国は、慈善事業家の需要に応じて、寄付したくなるような他人向け後納サービスを立ち上げます。
「納税対策をするのであれば、慈善事業で節税する方法が最も世の中の役に立つ。」
個人であれ、企業であれ、他人の年金保険料を支払う慈善事業家を育てる施策を行います。

2.3 相続時の年金強制後納サポート
国は、個人が相続した財産について、「不足している年金保険料」があれば、強制的に年金保険料を納めさせて充当する仕組みを作ります。
頑張って成功した親は、その成功した財産を、子供の為に残したいと思います。
相続税をガンガン上げて生活保護を充実させる方法を取るよりは、相続した財産の一部を子供の生活保障として納めさせる方が、親も子も国も幸せになります。
「頑張って人生を生きれば、親も子も、幸せな老後が待っている。」
そのような世界を目指します。

2.4 年金宝くじの発行
国は、生活保障人口を増やす為の「年金宝くじ」を発行します。
収益は全て慈善後納で使い切り、生活保障人口を増やします。

2.5 生活保障支援債権の発行
国は、必要に応じて「生活保障支援債権」を発行します。
この債権は、年金積立金を早期に安全圏まで積み上げる効果があります。
(a) 債権の発行条件は、例えば、元本保証の単利 0.5%にします。
お年寄りでも安心して投資出来る仕組みにします。
(b) この債券で得た予算は、年金と同じように運用します。
(c) 償還時の剰余金は全て慈善後納で使い切り、生活保障人口を増やします。
可能でしたら、この後納の対象者を「65歳以上」に限定します。

2.6 親族後納・慈善後納の、統計情報公表
国は、親族後納・慈善後納の合計金額をインターネットで公表し、感謝の意を表します。
(a) この金額の公表は、全国合計の他に、都道府県単位でも行います。
(b) 慈善後納の結果は、年金宝くじや生活保障支援債権の単位でも行います。

3. 年金制度の運用効率改善
上記の計画を実現する為には、大きな人手がかかります。
そこで国は、年金の運用効率を大幅向上させる為の取り組みを行います。
詳しい手順は、「年金運用効率化計画。年金運用手順を見直して、低予算で年金制度の魅力を向上させる方法

厚生年金第2楽章の特徴
この仕組みが実現すると、次の9つの効果が期待出来ます。
(1) 全国の住民/農林水産省。老後の安心感
(2) 法務省/警察庁。生活苦による自殺と犯罪の抑制効果
(3) 総務省。自治体の社会保障サービス向上
(4) 文部科学省。子供達の学習意欲向上
(5) 内閣府。高齢社会対策と少子化対策の後方支援
(6) 経済産業省。労働意欲向上と国内消費拡大
(7) 国土交通省。将来的な観光人口の増加
(8) 厚生労働省。年金制度の維持効果
(9) 財務省。財政収支の改善効果
 
(1) 全国の住民/農林水産省。老後の安心感
不安定な職業や農家の方でも、無理の少ない老後設計が可能になります。
老後に泥棒などに入られた時も、致命的な損害を回避する事が出来ます。
親や子供が貧しい境遇にある時に、支援し易くなります。
そして何よりも、老後の生活と年金制度に対する安心感が高まります。

(2) 法務省/警察庁。生活苦による自殺と犯罪の抑制効果
高齢者の生活資金枯渇を防ぐ事で、自殺や犯罪に追い込まれる事を防ぎます。
高齢者が盗難に遭った時にも、最低限の生活保障が出来るようになります。
振り込み詐欺で騙された時にも、致命的な被害から守る事が出来ます。

(3) 総務省。自治体の社会保障サービス向上
将来的に、生活保護に頼らなくても済む高齢者が増えます。
その結果、生活保護を別の人にあっせんする事が出来るようになります。

(4) 文部科学省。子供達の学習意欲向上
子供も親も、自分達の老後について不安に思う事が少なくなります。
その結果、子供達は学習などに集中出来るようになります。

(5) 内閣府。高齢社会対策と少子化対策の後方支援
生活保障人口が拡大する事で、更に進んだ高齢社会対策が可能になります。
また、老後の不安が少なくなる事で、婚姻や出産の増加効果も期待出来ます。

(6) 経済産業省。労働意欲向上と国内消費拡大
老後の生活が保障される事で、勤労者の労働意欲が向上します。
高齢者の余分な蓄積は、国内消費や投資に使われるようになります。
自営業者達は、今よりも安心して設備投資出来るようになります。

(7) 国土交通省。将来的な観光人口の増加
老後の心配が少なくなる事で、安心して旅行などに出かける人が増加します。

(8) 厚生労働省。年金制度の維持効果
生活保障人口と年金積立額が増加します。

(9) 財務省。財政収支の改善効果
社会保障の為の国庫負担増加を抑制する効果があります。
国内消費が増えますので、各種税収の増加効果も見込めます。

留意事項
厚生年金第2楽章を設計する時は、次のような工夫が必要です。
 
(1) 「特別な」厚生年金の運用指針について
(a) 徹底的な省力化
年金保険料の「無徴収」割引額を大きくする為に、徹底的な省力化を行います。
企業負担分も自己負担する年金ですから、割引幅を極力広げます。
例えば、お知らせはEメールだけで行う事などを、検討してみます。
(b) 納付者の気持ちへの配慮
この年金は、収入不安定の人達が参加していますので、責めるような表現は避けるようにします。
例えば、翌月も引き落とせなかった時は、後納可能のお知らせだけを行います。

(2) 後納時の年金保険料受け付け順序
後納受付時には、納付者が最も得をする月から受け付けます。
理由は、気持ち良く納付出来る方が、保険料の納付率が上がるからです。
例えば、未納期間と免除期間がある時は、未納期間から受け付けます。
免除期間は後回しにする事で、納付意欲を増やします。

(3) 慈善後納制度の、後納金額割り当て手順
慈善後納を受け付ける時は、次の順序で後納金額を割り当てます。
(a) 後納者自身の年金枠
後納者自身に厚生年金の後納枠が残っている時は、その枠を全て埋めます。
(b) 後納者が含まれる世帯の年金枠
世帯員に厚生年金の後納枠が残っている時は、その枠を全て埋めます。
(c) 後納者が指定した郵便番号
後納枠が残っている対象者全員に1箇月分ずつ割り当てていきます。
受給可能額が厚生年金推奨基準以上の人は、割り当て対象から外します。
この条件で、最高齢者から順に1箇月分ずつ割り当てていきます。
そして、対象者全員の納付枠が埋まるまで、割り当てを続けます。
(d) その郵便番号がある市区町村
(e) その市区町村がある都道府県
(f) 全国
端数が余った時は、全国分として保管します。
この金額は、次回の全国割り当て時に合算して処理します。

(4) 年金制度の長寿命化対応
長寿命化への対応は、基本的に、年金積立金を増やす方法で行います。
理由は、年金積立金は複利で運用されるからです。
(「積立金を積み上げる」形での割賦方式で対応可能です。)
必要に応じて、受給者の存在確認強化などの、運用手順の見直しを行います。

(5) 「仕事を求めている低収入者」に対する全力就職支援
年金制度は、収入が無ければ恩恵を得る事が出来ません。
ハローワークなどの就職支援機関では、低収入者が早期に仕事を見付けられるよう、全力で就職支援します。

補足説明
(1) 年金の最低保障額を、生活保護以上にする理由
年金の納付率を上げる為には、次の2点が必要です。
(a) 年金受給金額が、生活保護よりも高額になる事
(b) 年金の受給開始年齢が決まっている事
理由は、この2点が崩れると、経済成長に悪影響を及ぼす人が増えるからです。
「生活保護に頼れば良いと考えて、年金保険料を納付しない人」
「生活保護を受けられない時は、刑務所で暮らす方が幸せだと考える人」
「老後が不安だからお金を貯め続けろ、と指導する人」(これは当然です。)

(2) 生活保護水準の年金保障を、国が行う必要性
生活保護水準の年金保障は、民間ではなく公的年金で行った方が安全です。
理由は、国がしっかり対応する事で、次のリスクを減らす事が出来るからです。
(a) 倒産リスク
生活保護水準の年金を運用する組織は、人の命を預かる形になります。
ですから、生活保護水準の年金に関しては、国が運用する方が安全です。
民間企業は、運用結果について全ての責任を取る事が出来ません。
最悪の場合は、倒産・破産で全額回収不能になります。
運用結果が芳しくないと、どのみち国が生活保護対応する事になります。
(b) 犯罪行為に対するぜい弱性
年金資産を犯罪から守る為には、国が責任を持って運用する方が安全性が高いです。
民間企業は短期の利益を追求しますから、国のように全力で防衛する事が出来ません。

参考文献
o ご参考。現在の年金積立金
▽年金積立金管理運用独立行政法人(厚生労働省)の「最新の運用状況ハイライト」
「国民年金と、国運用分の厚生年金」の積立金は、120兆4653億円でした。(2012年末時点)
この金額は、国民年金と国運用分の厚生年金の合計額みたいです。
(企業年金や共済年金の積立金は含まれていません。)

o ご参考。現在の国民年金加入者数と受給者数
▽厚生労働省の「平成23年度厚生年金保険・国民年金事業の概況について 」
2012年3月現在の統計情報では、
国民年金の第1号被保険者数は 1,904万人(任意加入被保険者を含みます。)
国民年金の第3号被保険者数は、978万人(厚生年金、共済組合の配偶者)
国民年金の受給者数は 2,912万人、平均受給額は 月5万5000円
受給者数に第3号の受給者を含むかどうかは不明でした。

==
関連ページ:
+
(2015年11月3日変更。仕組み欄1.4の内容見直し。現行管理の延長で対応可能)
(2015年11月1日追加。仕組み欄「1.4 マイナンバーで実現する、高齢者を含む全ての人達の、厚生年金一旦受け取り機能」追加)
(2015年8月30日追加。仕組み欄の「相続時の年金強制後納サポート」と、慈善納付手段の追加)
(2013年7月20日追加。仕組み欄の「高齢者の追加納付対応」と参考文献)
(2013年7月19日訂正。語句の訂正)